ITS 編集部
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【2023年解説】システム開発における詳細設計の成果物とは？
ソフトウェア開発における詳細設計の成果物は、プロジェクトの成功に向けた鍵となる情報を提供します。詳細設計は、システム全体の設計を詳細に明示し、各コンポーネントやモジュールの実装に関するガイドラインを提供します。この記事では、詳細設計の主要な成果物について詳しく探求し、それぞれがプロジェクトにおいてどのような役割を果たすかに焦点を当てます。
基本設計
基本設計（High-Level Design）は、設計プロセスの最初の段階であり、システム全体のアーキテクチャや構造を設計する重要なステップです。基本設計の主な目的は、システムの主要なコンポーネントやモジュールを識別し、それらの間の相互作用を定義することです。基本設計には以下の要素が含まれます。
1. システムアーキテクチャ
システム全体のアーキテクチャが設計され、コンポーネントやモジュールの配置、通信プロトコル、データフローが決定されます。これにより、システム全体の構造が明確になります。
2. 機能仕様
システムが提供する主要な機能や機能の概要が記述されます。ユーザーやステークホルダーからの要求事項に基づいて、システムがどのような機能を提供するかが明確になります。
3. データフロー
データがシステム内でどのように移動し、処理されるかについての概要が提供されます。データの出力元と入力先、変換プロセスが記述され、システム内のデータフローが可視化されます。
基本設計は、プロジェクトの方向性を示し、全体の設計における基本的なガイドラインを提供します。これにより、プロジェクトチームは一貫性のある設計に向かって協力し、効率的に進行できます。
詳細設計（内部設計）
詳細設計（Low-Level Designまたは内部設計）は、基本設計の後の段階で行われます。詳細設計では、基本設計で定義されたシステムの各コンポーネントやモジュールの詳細な仕様が設計されます。詳細設計には以下の要素が含まれます。
1. プログラム仕様
各コンポーネントやモジュールの詳細な仕様が定義され、入出力データの形式や処理手順が文書化されます。プログラムの具体的な実装方法が指示されます。
2. データ構造
データベーステーブル、クラス、データモデルなど、データの構造が詳細に設計されます。データの保管、取得、更新方法が定義されます。
3. アルゴリズム
各機能や処理のための具体的なアルゴリズムや計算手法が示されます。アルゴリズムは、データの処理方法や操作方法を定義します。
4. インターフェース
各コンポーネントやモジュールの外部インターフェースが設計され、他のシステムやコンポーネントとの連携方法が定義されます。
詳細設計に基づいて開発者は実装を行い、プログラムコードを作成します。詳細設計は開発プロセスの次のステップに向けた具体的な計画を提供し、効率的なコーディングを支援します。
詳細設計を作るメリット
詳細設計を作成することには、以下のメリットがあります。
1. 方針が明確になる
詳細設計により、プロジェクトの方針や設計方針が明確になります。開発者は、何を開発すべきかを理解しやすくなります。
2. 効率的に開発できる
詳細設計に基づいて開発が行われるため、開発者は具体的な実装に集中できます。設計段階での方針に従ってコーディングを行うことで、無駄な時間やリソースの浪費を減少させることができます。
3. 品質が向上する
詳細設計により、コードの品質が向上し、バグやエラーの発生が減少します。詳細設計に基づいたテストが容易になり、システムの品質が確保されます。
詳細設計の成果物作成における問題点
1. 属人化が発生する
詳細設計は一部の設計者に依存することがあり、その設計者が不在になった場合に問題が発生する可能性があります。設計の文書化と共有が不十分な場合、知識の集中や依存度が高まります。
2. リアルタイムで共有できない
詳細設計が文書として存在し、リアルタイムでの共有やコラボレーションが難しい場合、コミュニケーションの効率が低下します。プロジェクトメンバー間での意見交換や修正が遅れる可能性があります。
3. セキュリティのリスクが高まる
詳細設計にセキュリティに関する詳細な情報が含まれる場合、それが不正アクセスや情報漏洩のリスクにつながる可能性があります。セキュリティに関する情報は適切に管理される必要があります。
4. データ量の問題が発生する
詳細設計には多くの文書や図表が含まれるため、データの量が増加します。これにより、文書管理やバージョン管理の課題が発生することがあります。
5. 設計変更時の負担が大きい
詳細設計が確立された後に設計変更が必要な場合、変更の影響範囲を特定し、変更を反映させるプロセスが煩雑になることがあります。特に大規模なプロジェクトでは、設計変更の管理が難しくなります。
詳細設計における成果物
詳細設計の成果物は、プロジェクトの進行と実装をサポートするために重要です。一般的な成果物には以下が含まれます。
1. クラス図
クラス図は、システム内のクラス（オブジェクト）とその関係を示す図表です。クラスの属性やメソッド、クラス間の関連が記述されます。
2. アクティビティ図
アクティビティ図は、プロセスやワークフローを表すための図表です。システム内での特定のアクションやプロセスの流れが示されます。
3. シーケンス図
シーケンス図は、システム内でのオブジェクト間の相互作用とタイミングを示す図表です。オブジェクト間のメッセージのやり取りが明示されます。
4. モジュール構造図
モジュール構造図は、システム内のモジュールやコンポーネントの階層構造を示します。モジュール間の依存関係が示され、システム全体の構造が可視化されます。
5. 画面遷移図
画面遷移図は、ユーザーインターフェースの画面間の遷移とナビゲーションを示す図表です。ユーザーエクスペリエンスを設計する際に使用されます。
6. 状態遷移図
状態遷移図は、オブジェクトやエンティティの状態変化を示す図表です。オブジェクトの異なる状態と遷移条件が明確になります。
7. データベース物理設計書
データベース物理設計書は、データベーステーブルの設計やインデックス、制約、関連付けなど、データベースの物理的な構造を記述します。
8. 入出力設計書
入出力設計書は、システムと外部システムやユーザーとのデータの入出力形式やプロトコルを定義します。
9. テスト設計書
テスト設計書は、システムのテスト計画を記述し、テストケースやテストデータ、実行手順が記録されます。
10. バッチ処理詳細定義
バッチ処理詳細定義は、バッチ処理ジョブの詳細な設計と実行手順を提供します。データ処理やスケジュールに関する情報が含まれます。
11. 外部インターフェース設計図
外部インターフェース設計図は、システムと外部システムやサービスとのインターフェースの設計を示します。データのやり取り方法や通信プロトコルが定義されます。
12. IPO（処理機能記述）
IPO（Input-Process-Output）記述は、システムの機能や処理に関する詳細な説明と、入力データ、処理手順、出力データが記述されます。
詳細設計の作成方法
詳細設計を作成するための一般的なステップは以下の通りです。
1. 要件分析をする
詳細設計の前に、要件定義書や基本設計書を元に要件を分析します。システムが要求される機能や性能、制約条件を理解します。
2. 設計の構築をする
設計仕様書を作成し、各コンポーネントやモジュールの詳細な設計を文書化します。プログラム仕様、データベース設計、インターフェース設計などが含まれます。
3. 評価と検証を行う
詳細設計が完了したら、関係者や開発チームと共有し、フィードバックを受けます。設計が要求を満たしているかどうかを検証し、修正が必要な場合は行います。
システム開発の詳細設計の制作担当
詳細設計の制作担当には、以下の役割が関与します。
1. システムエンジニア（SE）
システムエンジニアは、システム全体の設計を主導し、要件と設計の整合性を確保します。プロジェクトの方針やスケジュールの策定にも貢献します。
2. プログラマー（PG）
プログラマーは、詳細設計に基づいてコードを実装し、システムの機能を開発します。プログラムのテストも行い、バグの修正やパフォーマンスの最適化を行います。
他の仕様書との違い
詳細設計書と他の仕様書との違いについて説明します。
1. 要件定義書
要件定義書はプロジェクトの最初の段階で作成され、システムが達成すべき要件や期待される機能を記述します。詳細設計は要件定義書に基づいて行われます。
2. 基本設計書
基本設計書はシステムのアーキテクチャや全体的な構造を定義します。詳細設計は基本設計に基づいて行われます。
3. プログラム設計書
プログラム設計書は、詳細なプログラムモジュールの設計と実装を文書化します。詳細設計は、プログラム設計書の前段階として考えることができます。
よくある質問
システム開発の詳細設計書とは何ですか？
詳細設計書は、システム開発プロジェクトにおいて、各コンポーネントやモジュールの詳細な設計仕様を文書化したものです。コードの具体的な実装手順やデータ構造、アルゴリズム、インターフェースなどが詳細に記述されます。
システム開発の基本設計と詳細設計の違いは何ですか？
基本設計はシステム全体のアーキテクチャや概要を定義し、高い抽象度で行われます。詳細設計は各コンポーネントやモジュールの詳細な実装仕様を定義し、低い抽象度で行われます。
方式設計と詳細設計の違いは何ですか？
方式設計は基本設計と詳細設計の中間段階であり、システムの概要設計を行います。詳細設計は各コンポーネントの詳細な設計を行います。方式設計は全体の設計方針を示し、詳細設計は個別の実装詳細を提供します。
まとめ
システム開発における設計は、プロジェクトの成功に不可欠であり、基本設計と詳細設計の段階で行われます。詳細設計は具体的な実装の指針を提供し、方針を明確にし、効率的な開発を可能にします。しかし、詳細設計の過程で属人化やセキュリティのリスクに注意する必要があります。
