サードパーティークッキー廃止後の広告環境にどう対応すべきか–マーケターが知っておくべきアプローチ:ZDNET Japan
[コジーの今週気になるDXニュースVOL20230925-01]

Criteoでは、クライアント(広告主)から「サードパーティークッキー廃止後の広告環境にどう対処すべきですか?」という質問をよく受けます。インターネットの黎明(れいめい)期以来、サードパーティークッキーは関連性の高い広告の配信を可能にし、デジタル広告のエコシステム全体であらゆる関係者がつながるための「共通言語」を提供してきました。この共通言語は、2024年にかけて段階的に廃止される予定です。

これにより、マーケターと消費者とのコミュニケーションが困難になるのではないかと懸念されています。しかし、こうした状況においてもなお、多面的で適切なアプローチをとることで、マーケティングキャンペーンのエンゲージメント、計測、最適化が可能でアドレサブル(ユーザーを特定できる)な未来を切り拓くことが可能です。

サードパーティークッキーという共通言語が消滅したら、マーケターやメディアオーナー(媒体社)は消費者とどうやって最適なコミュニケーションをとればよいのでしょうか。この尽きない疑問に対処すべく、Criteoはこれまでもさまざまな新しいアドレサビリティーソリューションの開発に投資してきました。
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https://japan.zdnet.com/article/35209300/
いずれのソリューションも規模、精度、経済面だけでなく、エコシステム全体のプライバシー保護の観点からもパートナーのニーズに応えるものです。本記事では、アドレサビリティーの未来にどのようにマーケターがアプローチしていくべきかについて紹介します。

クッキーの代替手段は1つではない
Googleが「Chrome」でのサードパーティークッキー廃止を発表したのをきっかけに、多くの企業が代替手段となる独自の識別子を強化しました。その流れから明らかなことは、私たちはただ「単純に置き換える」だけの代替手段は求めていないということです。これらの識別子は大抵が確率的なものであり、ゲートキーパーやブラウザーでの制限に依存しているため、全てのステークホルダー(利害関係者)にとって持続可能なものとはいえません。

つまり、多くの企業が単一の組織の範囲内でアドレサビリティーを最大化しているものの、エコシステムの他の部分と相互運用できず、規模を制限してしまっている状態です。識別子が相互運用できるようにならない限り、独自の言語が多発的に利用されることによって、業界の分断を招くことにもなりかねません。

アドレサビリティーの未来は、単一のブランド識別子に依存するのではなく、消費者の同意に基づいた拡張性のあるオープンソースのソリューションの基に構築されるべきです。また、マーケティング目的でのメールアドレスの共有を許可するアドレサブルな消費者に直接リーチできることに加え、非ID依存型のソリューションを統合して、IDを持たない非アドレサブルな消費者にもリーチできるソリューションであることも重要です。

これらのソリューションは、デマンドチェーンとサプライチェーンにまたがって機能し、消費者に大きな価値を提供すると同時に、マーケターがより優れた成果を達成できるようにサポートすべきです。

マーケターにとってのより良い選択
多様なソリューションが必要であることから、マーケターはターゲティング広告を用いてアドレサブルな消費者には直接、非アドレサブルな消費者には多面的なアプローチでエンゲージする必要があります。このアプローチの中核となるのが、ファーストパーティーデータのマッチングです。

ブランドは、独自のファーストパーティーデータを、ファーストパーティーのコンテクスチュアルシグナルを含む他のデータセットと統合することで、ターゲットオーディエンスへの理解を深め、カスタマイズされたメッセージを届けることができ、優れた成果を収められるようになるでしょう。

また、仮名IDであるハッシュ化されたメールは、プライバシーを保護した上で個々の消費者を識別する有効な共通手段であることが証明されています。つまり、個人を特定可能な情報を収集することなく消費者を識別できるようにする、いわば技術的な「ペンネーム」です。

この「ペンネーム」は、複雑な統合やパートナーシップを必要とせずにマーケターとメディアオーナーのデータセットのやりとりを可能にする唯一の「ユニバーサルツール」です。ハッシュ化されたメールは、デマンドサイドとサプライサイドのデータを照合させることで、統合されたIDという共通言語に支えられたエコシステムを構築することができるため、ターゲティングおよび計測を広範囲に可能にします。

Criteoのクライアントの中には将来を見据えたアドレサビリティー戦略を立てつつ、同時にハッシュ化されたメールを利用して既にパフォーマンス向上を達成している企業もあります。インターネットのほぼ4分の1が既にサードパーティークッキーを使用せずに運用されている今、こうしたクッキーのサポートを終了したブラウザーによって意図せずともA/Bテストを実施しているような環境が構築されているのです。「Safari」や「Firefox」がこうした環境であるのに対し、Chromeは現時点ではクッキーが運用されています。

Criteoの多面的なアドレサビリティーソリューション
Criteoの全社規模での取り組みの一環として、多面的なアプローチの下、それぞれのソリューションが相互作用しながらアドレサブル/非アドレサブル両方の消費者とのエンゲージメントを高め、関連性を高めるソリューション群の開発に注力してきました。

さらに、私たちはChromeともプライバシーサンドボックスで連携し、精度と規模、経済的な成長を実現できる、プライバシーに配慮したソリューションをクライアントに提供することを目指してきました。

プライバシーサンドボックスは、Chromeと「Android」アプリ内エコシステムに対応しています。Googleはこの両方について、TopicsやProtected Audiencesといったオーディエンス定義/入札ソリューションと、Attribution Reporting APIなどのレポート作成/キャンペーン最適化ソリューションを提案しています。

Chromeではトラフィック全体の5%でこれらのソリューションの利用が可能となっており、Criteoはこの環境を利用してプライバシーサンドボックスで大規模な入札・配信を行っています。今後もCriteoはプライバシーサンドボックスの最大規模のパートナーであり続け、生産的なコラボレーションを通じてこれからも前進し続けます。Criteoはまた、入札、レポート作成、アトリビューションの基本機能をテストしているほか、IAB Franceや World Wide Web Consortium(W3C)のような業界団体や規制当局とも直接協力しながらマーケターの具体的なニーズへの対応を進めています。

プライバシーに配慮したCriteoのAIは、高い価値を備えた堅牢なコマースデータセットを構築する数十億のデータポイントから学習します。データとAIの相互関係により、ショッピングジャーニーのあらゆるチャネル、デバイス、ステージで潜在顧客を効果的に発掘するとともに、クライアントのファーストパーティーデータを強化します。そして、クライアントのデータに微妙なニュアンスを加えることで、独自のファーストパーティーデータの域を超え消費者の購入・閲覧行動に関する包括的なファーストパーティーデータを提供します。

マーケターが備えるべきこと

Googleは2024年第1四半期にChromeのトラフィックの1%でサードパーティークッキーを無効化する予定です。サードパーティークッキーの廃止は今や目前に迫っています。Criteoはこれを、「より堅牢なデータを取得して、クライアントのアドレサビリティー戦略を最適化し続けるためのチャンス」と考えています。

マーケティング担当者が将来のアドレサビリティーに備えるには、ファーストパーティーデータを活用する際に、アドレサブルな顧客だけでなく、アドレサブルでない見込み客やメールアドレスを知らないサイト訪問者にも改めて焦点を当て、顧客のセグメンテーションに注力することも極めて重要です。こうした戦略を正しく理解した上で、マーケターはオープンなインターネット上で、一貫したスケーラブルな方法でこの3つをサポートするデマインドサイドプラットフォーム(DSP)を選択することができます。

Criteoでは、これらの消費者カテゴリーでパフォーマンスを高め、クッキーレスでのアドレサビリティーに対応したデータ活用に関して、各パートナーの事情に合わせたガイダンスを提供しています。また、ファーストパーティーデータ戦略の最大化など、将来を見据えた戦略において長期的に正しい方向に導くために、顧客が今すぐ実行できるステップをアドバイスしています。マーケターはメルマガ登録やプロモーション、リマインダーなど、顧客のショッピングジャーニーに一層の付加価値をもたらす方法を通じて自社独自のデータを確保することに注力できます。

現時点でも、SafariやFirefoxのようなサードパーティークッキーに依存しない環境で広告配信を行うことで、A/Bテストを実施することができます。ここまでに挙げたような施策を実施することで、変化する環境に対応しながら、効果的で関連性に優れ、プライバシーに配慮した広告を消費者に提供することが可能です。

最後に

クッキー廃止後のアドレサビリティーに関して議論は続いていますが、適切なアプローチをとれば、マーケターは消費者のプライバシーを守りつつ、適切な広告体験を消費者に提供することができます。消費者の選択を注視するとともに、業界内でのコラボレーションを促進することが、アドレサビリティーの新たなソリューションを生み出すカギとなるはずです。パートナーと連携し、最新の動向や開発状況を把握し続けることで、マーケターは今後も引き続き有意義な方法でオーディエンスとつながることができるのです。

Todd Parsons(トッド・パーソンズ)
2020年8月にCriteoの最高プロダクト責任者(CPO)に就任し、Criteoの製品戦略と製品イノベーションおよびプラットフォームの多様化・変革をけん引。過去10年以上にわたり、消費者のIDとデータを有効活用するマーケティングソリューションの構築に携わる。Criteo入社前、業界初の「人ベース」のプログラマティック広告マーケットプレイスであるOpenXの立ち上げ、SocialCodeのCPOとして、Facebook、Amazon、YouTube をはじめとするさまざまなプラットフォームのファーストパーティーオーディエンスの活性化・測定ソリューションの開発に従事。
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ITS 編集部

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