[コジーの今週気になるDXニュースVOL20240514-01] Apple Vision Proは、医療に空間コンピューティングが浸透する“未来”を提示している:杉本真樹:wired.jp

アップルが米国で発売した複合現実(MR)デバイス「Apple Vision Pro」は、空間コンピューティングが生活に溶け込む時代に何が可能になるのかを、いち早く提示したデバイスだ。目の前のリアルとバーチャルが溶け合い、違和感なくインタラクションできる──。そんな世界が実現することで大きなインパクトがもたらされる分野のひとつが、おそらく医療になるだろう。

Vision Proの登場を皮切りに医療のあり方が大きく進歩していくとすれば、そのとき何が起きうるのか。早くからMRによる手術を手がけてきた医師の杉本真樹が、Vision Proが導こうとしている空間コンピューティング時代の医療について読み解いた。

これまでに多くのVR(仮想現実)ヘッドセットを使ってきましたが、それらと「Apple Vision Pro」との間には圧倒的な違いがあります。スペックが高いことはもちろんなのですが、全体のバランスが非常に優れているのです。

これまでのデバイスにはどれも一長一短ありました。当然のことながらVision Proにも欠点はあります。でも、Vision Proには、使っていて不快感や不満を覚える点が非常に少ない。

例えば、周囲の状況をカメラを通してリアルタイムに確認できるパススルー機能は、その他のヘッドセットでは表示に遅延が発生したり、映像がゆがんだりすることがありました。もう少し現実世界を違和感なく見られるようになればいいと思っていたのですが、Vision Proを試してみると、見える世界が「現実そのもの」だったことに驚かされました。

もちろん解像度はもっと高いほうがいいのですが、現時点でも十分に“シースルー”といえるレベルに達しています。特に周囲のゆがみもなく、手を振ったときのちらつきを感じないことも印象的でした。表示の遅延も実質的にリアルタイム表示といえるもので、他のヘッドセットと比べると桁違いのクオリティと言えます。

“手術器具”の一部になる
この遅延のなさには、これまでにないメリットがあります。表示が低遅延であることで、医療分野ではVision Proをかぶったままで患者の診察や治療を十分にできる可能性があると感じたからです。

内視鏡手術をイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。患者の体内に内視鏡を挿入して小さなメスや鉗子などで手術をするのですが、これはカメラ越しに患部を見ながら遠隔操作しているともいえます。手術支援ロボット「ダヴィンチ」でも同様です。そう考えると、内視鏡の映像をVision Proに表示してしまえば、“手術器具”の一部として十分に利用価値があると思います。

続きは以下~
https://wired.jp/article/apple-vision-pro-medical-care-maki-sugimoto/

杉本真樹|MAKI SUGIMOTO
医師、起業家、医学博士。1971年、東京都生まれ。Holoeyes代表取締役CEO兼最高医療責任者(CMO)、帝京大学冲永総合研究所Innovation Lab教授、帝京大学医学部外科学講座肝胆膵外科。専門は外科学。ゴーグル型端末を医師が装着してVRの“臓器”を確認しながらゴーグル越しに患者を手術できる複合現実技術を手がける。「WIRED Audi INNOVATION AWARD 2017」イノヴェイター。
PHOTOGRAPH: SHINTARO YOSHIMATSU

ITS 編集部

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