ITS 編集部
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日本が提案した「少ないサンプル数で評価できる新しい生体認証精度評価方法」がISO/IEC JTC 1/SC 37の国際規格として発行されました。
本規格は、生体認証の精度評価に必要とされるサンプル数を1/3以下に低減することが可能なものであり、この規格を適用することにより、生体認証装置の性能改善サイクルが短くなり、より精度の高い生体認証装置を利用できるようになることが期待されます。
1.背景
生活や業務にITが浸透するにつれ、本人確認が非常に重要となっています。特に、コロナ禍を経て生活や業務のスタイルが大きく変化しており、現場の安全・安心や、人手不足の解消、付加価値向上のため、生体認証(顔、指紋、静脈、虹彩等による本人確認)を利用する機会が増えており、より精度の高い生体認証が求められています。
これまでの生体認証の精度評価方法として国際標準ISO/IEC 19795-1(Biometric performance testing and reporting)が利用されていますが、精度が高くなればなるほど、膨大な数のサンプルを必要とすることから、精度改善のボトルネックとなっていました。そこで、日本から「少ないサンプル数で評価できる新しい生体認証精度評価方法」の国際標準化を提案し、議論を推進してきた結果、2024年7月に国際標準ISO/IEC 5152(Biometric performance estimation methodologies using statistical models)が発行されました。
2.規格の概要
本規格は、生体認証の精度評価に、稀にしか起こらない事象の出現確率を推定する極値統計※1を利用して「他人受入※2率」や「本人拒否※3率」の評価を行う方法を適用するもので、精度評価にかかるサンプル数を1/3以下に低減できることが可能となります。
今までの精度評価方法の国際規格(ISO/IEC 19795-1)では、誤照合率0.0001%(100万分の1) の評価に必要なサンプル数は2,450以上、0.00001%(1000万分の1)では7,746以上のサンプル数を必要としましたが、本規格ではそのサンプル数を1/3以下にできることが認められたことから、誤照合率0.0001%(100万分の1) の評価に必要なサンプル数2,450があれば、0.00001%(1000万分の1)の性能を推定することが可能になります。
3.期待される効果
この規格を適用することによって、生体認証装置の性能改善サイクルが短くなり、より精度の高い生体認証装置を利用できるようになることが期待されます。働き方改革(テレワーク等)、教育改革(オンライン授業等)、オンライン医療・見守り、無人店舗・オンライン決済等で、現場の安全・安心、人手不足の解決、その他サービスへの付加価値向上に資する国際標準です。
※1 極値統計:稀にしか起こらない事象の出現確率を推定する統計手法。自然災害(大津波など)の発生確率推定にも使われてきた手法であり、生体認証に応用したことで評価サンプル数の削減を実現した。
※2 他人受入:他人を本人として受け入れてしまう誤りのこと。他人受入率が高くなると本人確認結果が信用できなくなり、生体認証装置が使われなくなる。
※3 本人拒否:本人なのに他人として拒否してしまう誤りのこと。本人拒否率が高くなると利便性が損なわれ、生体認証装置が使われなくなる。
担当
イノベーション・環境局 国際電気標準課長 小太刀
担当者:前場、高橋(貴)、久保
電話:03-3501-1511(内線 3428)
メール:bzl-s-iec★meti.go.jp
※[★]を[@]に置き換えてください。
https://www.meti.go.jp/press/2024/07/20240717003/20240717003.html
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