【コジーの今週気になるdxニュースvol20240820-01】 起業家の世界大会でわかった、一流が実践する「スイミー型リーダーシップ」とは:Forbes JAPAN BrandVoice

「トップリーダーは時代の写し鏡である」。
これまで数多くのリーダーたちを取材させて頂いてきた筆者の感想だ。

いまや社長という肩書だけがリーダーを指し示す言葉ではない。スケールに違わず、自身が志を傾ける先でイニシアティブを取ることもリーダーたる行為だ。つまり、誰もがリーダーになれる時代。それでも、そんなリーダーの中において、歴史に名を残し、世界を動かす、ロールモデルになる「トップリーダー」たちには、時代が求める必然性と、彼らが手掛ける事業成果を含む、多大なる社会的インパクトの創出力という共通点が備わっていると改めて思う。

そんな各国のトップリーダーたちが一同に介し、世界一の起業家を決める大会が今年もモナコで開催された。6月4日から6日の日程で開かれた「EY World Entrepreneur Of The Year™ 2024」だ。

24回を数える本イベントの今年の参加者は、のべ430名。中でも本大会の主役である、各国から選ばれた47か国51名の代表たちは、5000人を超えるノミネートの中から勝ち抜いてきた超一流の起業家ばかりだ。

参加企業はジェラートからBTS事務所まで

各国代表が手掛けてきた事業領域は広い。手作りジェラートを手掛ける企業から、プラスチックに代わる植物由来のパッケージを製品化する会社、デジタル・ロジスティクス、AIを使ったセキュリティシステムを提供する会社、そして、韓国のポップ・アイコン BTSを作ったエンターテイメント企業と様々だ。

WEOYを主催するEYのジャパン・リージョナル・マネージング・パートナー、チェアパーソン 兼 CEO 貴田守亮は「世界中から集まった起業家がパーパスとアイデアを共有し、社会変革を促す絆が生まれる機会」だと本大会を説明する。さらに、「プレゼンテーションやグループ・ディスカッションを通して、日本の参加者からもフィードバックやインスピレーションを受け、新しいアイデアにつながる化学反応が起こる」として、毎年Building a better working worldのパーパスのもと、より良い社会の構築を目指す起業家を支援し続けている。

日本代表としてビジョナル 南壮一郎氏が参戦

今大会のテーマは「How do entrepreneurs set the world in motion?(起業家はどのようにして世界を動かしていくのか?)」。

脱コロナも、終わらない戦争、インフレとの闘い、それによる景気への影響・・・。経営者を取り巻く環境は決して穏やかではない。激動の時代の中、起業家はいかに世界を動かすべくアクションを起こすのか。
モナコがイベントカラーであるイエローに染まり、各国代表の顔を標したフラッグが街の至るところでひらめく中、否が応でも高まる熱。そんな中、選抜は、かつて各国代表を務めた審査員たちとの面談、そして、代表者同士の様々なディスカッションを経て、世界一の起業家が決定する。我が国、日本の代表はビジョナルの南壮一郎だ。

インド代表が世界一の起業家に

そんなトップリーダーたちの中で、今年、最も影響力を評価された「EY World Entrepreneur Of The Year™ 2024」に選ばれたのは、インド代表のヴェラヤン・スッビアーだった。

自動車部品製造など工業分野から、砂糖メーカー、金融業まで30近い事業を展開、年間で約1兆3000億円を売り上げ、7万3千人を超える従業員を擁す複合企業ムルガッパ・グループというファミリービジネスの4代目である。
2023年に中国を抜いて世界一の人口大国となったインド。しかし、所得分配の不平等のまま人口増加を続けていることで、農業就業者や低カースト層の貧困問題が深刻化。さらにその貧困を根本原因とした、飢餓や低賃金労働、児童労働や児童婚、早すぎる出産など、国内では課題が山積みである。そんな差し迫る問題に対し、積極的に投資してきたのがスッビアー率いるムルガッパ・グループである。インパクトの大きなイニシアティブに幅広く携わってきたこと、またその事業の成長率への寄与や、多大なる雇用の創出が高く評価され、2024年の頂点を極めた。

スッビアーが優勝コメントで、述べたことはこうだ。
「もし私が起業家たちとシェアできる教訓があるとするならば、それは、私たち自身を変化させ、改善させていくということ。一般的に、多くの考えは他人を変えることに費やされる。しかし、変えるべきものはただ一つ。自分自身です」

そして、こうも付け加えた。
「クレイジーな人たちこそ、世界を変えられる。そして、私たちはまさしく、そのクレイジーな人間なのです」。

多様性あふれるクレイジーたちが束になって課題に挑戦

人々の先を行き、一般的には理解されにくい「クレイジー」と言われる人たちが時代をつくるというのは、古今東西、変わらない。
しかし、冒頭に用いた私の所感、「トップリーダーは時代の写し鏡である」を紐解けば、今という時代の特色は、そのクレイジーな人たちがそれぞれの強みや特徴を活かし、束になって世の中を動かしているということだ。
いまや必然となった事業のもうひとつの車輪として、社会的課題への取り組みである環境や貧困問題など、世界における難題は一社やひとりの天才が動かすには巨大化しすぎているからである。

それぞれのクレイジーたちが、各々の個性やソリューションをもって重なり合いながら世界の課題をうめていく。その多様性の力こそが、今という時代を映すトップリーダーたちを示す表現ではないか。今大会で、世界最大の多民族・多言語国家である多様性の宝庫、インドという国の代表が世界トップになったこともその証左ともいえる。

また、白人、かつ恵まれた環境で育ち、最高の高等教育を受けた若き男性という、多様性の反対にある画一的秀才たちが創業したGAFAMという時価総額世界トップ企業の数社が、後継者としてバトンを渡したのがインド人だということも、その時代性をとらまえてはいないか。

多様性。英語ではダイバーシティと訳し、日本でも多用される言葉となった。もともとはラテン語の「di」=バラバラに に、「verse」=向きを変えるが語源となっており、形や性質が様々であることを示している。

まさに、多様性あふれる各国のファイナリストたちは、手掛ける事業はバラバラであっても、より良き世界と未来のために、同じ方向を向いて挑んでいる…。

そう書いていて思い出すのは、レオ=レオニの代表絵本「スイミー」だ。

「みんな いっしょに およぐんだ。うみで いちばん おおきな さかなの ふりして!」
そして、スイミーは言った。「ぼくが、めに なろう」。

「スイミー」は起業家そのもの

「ぼくがめになろう」、そう率先したスイミー。それは今の時代の起業家の役割そのもののように見える。
生物学者の五箇公一は、人間という生物学的に脆弱性の高い種が自然界で生き残っていくためには、助け合いや集団性、コミュニティ活動が必要だと述べている。世界の混沌が極まり、環境の厳しさが増す中においては、人間のみならず、企業や社会でも同じことが言えるのではないか。

だからこそ、今、それぞれのリーダーがその巨大な魚の「め」となって大きなチャレンジに立ち向かう。そして、互いに重なり合いながら、「多様性」という細やかなメッシュによって世界中にある複雑かつ多岐にわたる課題を救い上げていくのだろう。

奇しくも今大会で日本の代表として、まさに八面六臂の活躍を見せた南のミドルネームにして愛称は「スイミー」である。

恐らく2024年、最も優勝者に近く、審査員だけでなく、世界中のファイナリストから称賛され、存在を認めてもらったその人だ。これは、筆者と同じ国出身という贔屓目ではない。周りのリーダーたちも指摘していた南のディベート中の存在感や、ひっきりなしに入る南へのミーティングオファー、また、パーティー会場でのまさにStar of the Showな人目を引きつけるプレゼンス、さらには会場を沸かせた絶妙なスピーチを聞けば、誰もが納得するところだ。
そんなスイミー(南)がしていることもまさに、絵本「スイミー」そのものだ。

データとアナリティクスの力を使い、一人ひとりの強みを精緻に抽出。公正かつ正確な人材評価で、アセットである人材の価値を最大化させ、日本の「働く」を通じ、未来を再定義するという革命に挑んでいる。

そして、南自身がその「め」となり、能力が最大限に発揮された一人ひとりから成る大きな魚となって、これからも世界中にある課題にチャレンジし続けていくのだろう。

今大会テーマ「How do entrepreneurs set the world in motion?(起業家はどのようにして世界を動かしていくのか?)」に立ち戻れば、いまや御旗を掲げる誰もがスイミーなのだと気づく。そして、そのスイミーたちが掲げる志高きビジョンに集まる人たちすべてが積算となって強大な世界を動かす力になる。

このWEOYというイベントを通じて、これからも数多くのリーダーたちが歴史にその名を刻んでいくことになるだろう。

しかし、忘れてはならない。
そのリーダーたちの周りには、自身の個性や強みを持った多様性あふれる多くの人たちがリーダーと同じ方向を向き、より良き未来のために共に泳いでいるのだということを。
https://forbesjapan.com/articles/detail/72422?module=toppage_bs

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